伊勢南街道(和歌山街道)を歩く

2019年10月30日(水) ~2019年11月23日(土)
総歩数:279550歩 総距離:180.1km

2019年11月22日(金)

粟野~大石

                         曇り一時小雨

 松阪駅から昨日歩いたところまで行くバスはスメールという宿泊施設行で、そこは森のバス停の先にある施設だ。最初この施設で宿泊を考えないでもなかったのだが、街道から大分離れていることから宿泊を断念したのだが、バスが通っているのであればここに宿泊ということを考えてもよかったかもしれないと後になって思った。ただバスの本数は極端に少なくて、松坂駅を7時22分に出発した後、次は12時55分までなく、一日に5本しか走っていないので要注意だ。
 8時50分に粟野農協前のバス停に着き、出発する。松阪駅から1時間28分ほどかかっている。
 すぐ先で旧道は166号線から左へ分岐しているので、歩いていくと通行止めになっている。ご近所の方がおられたので、お聞きすると、熊が出たりするので通行止めにしているとのこと。「危ないっすよ!」と言われていた。
 仕方がないので166号線を進むことにする。櫛田川に架かる飯高大橋を渡って進むが、右手に八柱神社の鳥居が立っている。
八柱神社鳥居
 粟野橋を渡った左手に先ほどの旧道が合流しているのだが、やはり通行止めの柵が作られていた。すぐ先で166号線から左へ分岐して旧道を進んでいく。ここは集落があって歩くことができた。その先で166号線に合流する。この先も166号線と合流、分岐を繰り返して進む。右手に沈下橋が見える。櫛田川は水がきれいで、四国を歩いたとき、どの川も清流だったことや、やはり沈下橋があったことを思い出す。
沈下橋
 166号線に合流して右手を見ると櫛田川が大きく蛇行している。この辺りの地名を九十九曲(つづらくま)と呼んでいるのは、この地形に由来しているようだ。
九十九曲
 166号線から左へ分岐して進むと、左手に「川上八幡宮道」と書かれた道標と「県立公園奥山天神」と書かれた社標が並んで建っている。
川上八幡宮道
 一旦166号線に合流、すぐに再び左へ分岐すると、左手に「八柱神社」がある。「棟札によると天正年間(1573~1592)に社殿、棟札が兵乱に巻き込まれたという記述があることから、少なくとも安土桃山時代には鎮座していたと考えられる」と説明されている。10時2分にここを通る。
八柱神社
 その先で166号線を横断したところに旧道が残っており、166号線と並行して進んでいく。166号線は田引トンネルに入るのだが、旧道は川沿いの静かな道を進んでいく。左手にポツンと一体の石仏がある。
田引旧道1田引旧道石仏

 166号線に合流、栗子宇橋バス停の横に庚申堂がある。これは166号線の工事の際、この地に移されたという。
栗子宇橋庚申堂
 右手に宇栗子橋があり、その先から166号線から右へ分岐して進む。この先で道を間違えて一旦422号線に合流してしまったが、旧道は422号線の高架下を通って進む。ここに珍布峠(めずらしとうげ)のウォーキングマップがある。これを見て珍布峠は大丈夫だと思った。昨日の大定峠のことが頭にあって、大丈夫かな?歩くことができるのかな?と思っていたのでこのマップを見て歩くことができると安心した。11時8分にここを通る。
マップ
 ここは沿道に紅葉が植えられていて、今がちょうど見ごろの時期を迎えていた。
紅葉
 左手に石仏が二体ある。資料によると蔓延元年(1860)と刻まれているようだ。
蔓延元年
 その先で道は二股に分かれており、礫石を見るため右手に進むと、左手に「倭姫の命礫石」があり、裏面には「流れては 昔に帰る川俣川 礫石たつ 水のしら浪」と刻まれている礫石の碑が立っている。
 礫石碑
 右手川面にその「礫石」がある。「天照大神が白馬に乗って珍峠にさしかかり、国境を尋ねると、天児屋根命(あめのこやねのみこと)があらわれ、「この下の堺ケ瀬が伊勢と大和の国堺」と答えた。大神は「この堺は疑わしい」と言い、大石を川の中に投げ入れ、波のとどまるところで決めることにした。そして、傍らにあった大石を礫のように投げ入れると、川の水は大きな水柱となり、にわかに滝のように落ちた。そこで、このあたりを瀧野の里と名付け、勢いよく川上に逆流していった波の様子から、それぞれの地名を加波(かば)の里、波瀬(はぜ)の里、舟戸(ふなと)の里と呼ぶようになった。さらに激しい勢いで逆流していった波は高見山に達した。この日より高見山を伊勢と大和の国境と決めた。それから、赤桶(あこう)地内の櫛田川にある大石を礫石と呼ぶようになった。との言い伝えが地元にはある。」と書かれた標識が立っている。11時27分にここを通る。
礫石
 そのまま細道を進んでいくと、旧道に合流する。ここは切り立った巨岩に囲まれた道になっている。
巨岩の道
 「道行谷」の説明板が立っている。「櫛田川の支流、この谷川を道行谷、この土橋を道行橋といい、芳野を逃れた源義経と静御前が通ったという言い伝えがある」と書かれている。
道行橋
 その先に「死人谷」の説明板が立っており、それには「この少し上で谷水を飲む様子でそのまま死んでいた行き倒れがあったが、長い間気づかれなかったので、村人が無縁仏として葬り、この谷を死人谷と呼ぶようになった」と書かれている。
 珍布峠はきちんとした道が整備されていて、問題なく越えることができた。
 集落に入ってくると、右手に「左 くりたに是より れいふみち八十丁 紀州ミちよし乃かうや なら はせ」と刻まれた道標が立っている。11時56分にここを通る。
くりたに道標
 右手に「大庄屋瀧野家跡地」の標識が立っている。瀧野郷大庄屋の本陣として300年の歴史を持つ旧家だったということだが、現在は空き地になっている。
空き地
 すぐ先で道はT字路になっているので、これを左折すると左手に「花岡神社」があり、境内に親子杉が立っている。
花岡神社親小杉

 ここでちょうど12時になったので昼食にする。今日は出発前にコンビニで買ったパンが昼食だ。
 その先で166号線に一旦合流するが、すぐ先で左へ分岐、その先で右折して166号線を横断、更にその先でもう一度166号線を横断、更に166号線を横断と何度も166号線を横断して進む。166号線に合流してしばらく進み、再び166号線から左へ分岐して進むと、左手に高束池がある。この溜池は郡内で最大のもので、文化4年(1817)に着工、翌年完成したという。その横に「南無阿弥陀仏」と刻まれた年不詳の石碑が立っている。13時15分にここを通る。
高束池池横の碑

 その先で166号線から右へ分岐して旧道を進む。
 左手に「粥見神社」がある。ここには家内安全・無病息災・五穀豊穣をお祈りする約700年の歴史をもつという「てんてん」という神事が伝わっているという。14時ちょうどにここを通る。
粥見神社
 粥見神社から左折して進み、一旦166号線に合流するが、すぐ先で左へ分岐して旧道を進む。ここから大見坂を越えるのだが、入り口と思われるところには当然だが標識はない。民家の横を通って山へ抜ける道があるようだが、よくわからない。丁度車で通りかかった方がおられたので、この方にお聞きすると、確かに道はあり、道なりに行くと土俵があるちょっとした広場に出るので、それを突き切って行くと越えられると教えていただいた。言われた通り民家の横を通って進むと、かなり草がはえているが道はあるので、道なりに坂を登って行った。
大見峠1大見峠2

 坂を登りきると鳥居が立っており、その先が広場になっていて土俵がある。
大見峠鳥居
 教えていただいた通りにここを直進すると、T字路に突き当たるので、これを右折して舗装された道を下っていると、先ほど道をお聞きした方が車で登ってこられた。「先ほどの説明がまずくて迷っているのではないか」と心配をされてわざわざ追いかけてこられたのだ。これには驚いたし、その御親切に感謝、感激だった。ありがとうございました。
 166号線に合流して進んでいくと、左手から伊勢本街道が合流する所がある。伊勢本街道も近いうちに歩こうと思っている道だ。
伊勢本街道合流
 左手に「宝積寺」があり、境内に資料によると「みぎにはせみち ひだりき志うよしのみち」「ひだり いせみち」と刻まれた天明2年(1782)の道標がある。これは伊勢本街道との交点からこの場所に移設されたものという。15時9分にここを通る。
寶積寺寶積寺道標

 すぐ横に「旧飯南郵便局局舎」がある。これは昭和7年に建てられたもので、平成元年まで使われていたという。
郵便局
 その先で166号線から左へ分岐して進むと、右手に「十三佛」と刻まれた石碑と石仏1体がある。「十三佛」とは閻魔王とはじめとする冥途の裁判官である十王とその後の審理(七回忌、十三回忌、三十三回忌)を司る裁判官の本地とされる佛のことだという。
十三佛
 左手に江戸時代後期より近年まで薬種問屋、薬局を営んでいた「佐野翆香堂」の屋号で知られた「佐野住宅」がある。国登録有形文化財に指定されている。
佐野住宅
 その先で再び166号線に合流する。左手に橋の親柱と「北山上 現然 石尊大権現」と刻まれた社標が立っている。
親柱大権現

 その先で道は二又に分かれているので、166号線から右へ分岐、直進する。
 左手に「庚申堂」と庚申堂の正面石垣に組み込まれた、資料によると「大石宿 これより宮川へ七里 はせよりここまで十五里半」と刻まれた道標がある。
大石庚申堂大石道標

 この辺りは「伊勢本街道」「和歌山街道」と書かれた標識が随所に立っていてわかりやすい。
伊勢本街道標識
 166号線を横断した先に「大石町中出の集落 この上に本陣(ほんじ)郷倉跡と伝わる」と書かれた標識が立っていたので、どこかに本陣跡があるのかな?と思って探してみたがわからない。ご近所のお年寄りの方も一緒に考えてくれたがわからなかった。「おせん茶屋」があったことから「おせん坂」と名づけられた坂を通って166号線に合流する。
 16時10分に大石幼稚園前というバス停に着いたので、ここで今日は終わることにする。
バスの時間は16時20分なのでちょうどいい時間だった。ちなみに次のバスは17時40分までない。

 本日の歩行時間   7時間20分。
 本日の歩数&距離 38501歩、25.3km。
 本日の純距離    24.5km。(途中、道を間違えず、寄り道をしないで街道だけを歩いた距離)

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